十四経発揮

十四経発揮

 
 
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  1.手の太陰肺経 (LU) (11穴)
   ❶ 胃の辺り、中焦(
中脘)から起こり、大腸へ(水分)下行し、再び胃の上に上行(上脘)、
   横隔膜を貫いて、両肺から喉、気管を経て、横に出て中府に行き、腋窩から腕の橈側を通り、
   拇指の橈側、
小商で終わる。
   ❷支脈:
列欠から手背を通って第2指の撓側、商陽へ行き、手の陽明大腸経と交わる。
   

   手の太陰肺経のイラストと流注地図
  
    Qマーク どの臓器と関わっていますか?
    アンサーマーク 胃、腸、肺、気管・のど、心臓
胃 大腸胃肺、気管心臓
  これらと関わりがありますから、風邪などを引いた時に、色々な症状が現れます。
  食欲がなく、下痢を起こしたり、熱が出て、鼻水が出て、咳き込んだりします。
  肺経は主に呼吸器系疾患と関わりますが、心臓などの循環器系との関わりも忘れてはなりません
  それは治療にも活かす事が出来ると言う事です。
  
肺経を始めとして、学んで行くうちにどの経絡も内臓のそれぞれの臓器と深く関わりがあることが
   理解できるかと思います。


  ●臓器時計 高期:午前3時~5時 低期:午前5時~7時  
   ※高、低期間:肺が懸命に働く期間、ゆっくり休む期間


 
1.手の太陰肺経   
   中府(ちゅうふ)  前胸部、第1肋間と同じ高さ、鎖骨下窩の外側、前正中線の外方6寸。 
   雲門(うんもん)  前胸部、鎖骨下窩の陥凹部、烏口突起の内方、前正中線の外方6寸。
   天府(てんぷ)  上腕前外側、上腕二頭筋外側縁、腋窩横紋前端の下方3寸。
    侠白(きょうはく)  上腕前外側、上腕二頭筋外側縁、腋窩横紋前端の下方4寸。
   尺沢(しゃくたく)  肘前部、肘窩横紋上、上腕二頭筋腱外方の陥凹部。
    孔最(こうさい)  前腕前外側、尺沢と大淵を結ぶ線上、手関節掌横紋の上方7寸。
   列欠(れっけつ)  前腕僥側、長母指外転筋腱と短母指仲筋腱の間、手関節掌側横紋の上方1寸5分。
   経渠(けいきょ)  前腕前外側、橈骨下端の撓側で外側に最も突出した部位と橈骨動脈の間、手関節掌側横紋の上方1寸。
   太淵(たいえん)  手関節前外側、橈骨茎状突起と舟状骨の間、長母指外転筋腱の尺側陥凹部。
 10  魚際(ぎょさい)  手掌、第1中手骨中点の橈側、赤白肉際。
 11  少商(しょうしょう)  母指、末節骨橈側、爪甲角の近位外方1分、爪甲橈側縁の垂線と爪甲基底部の水平線との交点  




まとめ

1.手の太陰肺経 (LU) (11穴)/ 2.手の陽明大腸経 (LI)(20穴)

肺・大腸(分解・排泄作用) 肺ー宣発、粛降作用 大腸ー糟粕の伝導

走行

❶ 胃の辺り、中焦(中脘)から起こり、大腸へ(水分)下行し、再び胃の上に上行(上脘)、横隔膜を貫いて、両肺から喉、気管を経て、横に出て中府に行き、腋窩から腕の橈側を通り、拇指の橈側、小商で終わる。

❷支脈: 列欠から手背を通第2指の撓側、商陽へ行き、手の陽明大腸経と交わる。

機能

生命活動の根元である気エネルギー)を外界から受け,これを人体の元気にまで分解し,体内のガス交換と排出を行なう呼吸作用になる

症状

中風や喘息になったりする人はこの経脈の急所が弱く、また腕が利かなくなったりする。

実:肺を悪くし、喘息を起こす。肩が張り、胸がつかえる。腕が痛む。風邪をひきやすく汗が出すぎる。ひどくなると中風になる。

虚:気抜けする。寝小便をする。心細くなる。黄色い尿になる。

精神面

虚:気を病み、胸を詰まらせる。神経質で過敏に反応する。気が小さい。活気がない。環境との交流が少ない。深い呼吸ができにくい。

実:精神的なことで胸が一杯になる。思いを抑え、発散できない。ため息をつく。

大腸

走行

❶ 肺経の列欠から流れて、第2指の撓側、爪甲根部の商陽から手の陽明大腸経は始まる。拇指と第2指の間、合谷から前腕の曲池より、上腕撓側を上行し、臂臑から、三焦経の臑会へ、肩髃、巨骨へ、巨骨から大椎へ行き、戻って缺盆へ、胃経を通り、肺をまとい、天枢で大腸へ至る。

❷ その別枝は缺盆より首を通り、下歯槽中に入って、上唇を回り反対側の小鼻の脇、迎香へと行く。迎香から足の陽明胃経と繋がる。

❸ 別絡は偏歴から出て肺経に連絡する。

機能

を肋けて実質的栄養の分解排出に関係し,気の停滞をくす働きがあり、気分の発散できいこと便秘,のぼせなどと関係してきます。

症状

歯痛、首の腫れ、目が黄色くなる、口渇、鼻血、喉の痛み、脾臓を悪くする。

実:経脈の通り道が腫れる。

虚:寒くて震え、温めても回復しにくい。

精神面

虚:気が抜けて、がっかりしている。積極性に乏しく、依頼心が強い。

実:自己を抑え、発散できない。悩みを言う相手が居ない。

 ●肺経:反応部位 背中:胸椎1~3とその周辺、腹部:左右季肋下部の最外端

 ○大腸経:反応部位 背中:腰の両側、腹部:そけいに沿った部位で腰に手を当てた時の拇指と他の四指の端が位置する所。

 

 肺ー宣発  :発散、散布すること。気や津液、栄養分、衛気(えき)等を全身に拡散させる。

 濁気を体外へ排出する。身体の上や外に作用する。 

 粛降作用  自然界の清気を気道に吸い込むのはこの働きによる。気や津液を上から下へ卸すことで、排泄を調整する。

 大腸ー糟粕の伝導  :小腸から送られてきた食べカスを大腸へ送ること。

 
  メモ 
  手の太陰肺経は手の拇指と関わりが深いのです。
  拇指球が豊かなら、肺の機能はしっかり働いています。反対にそげたような感じの場合は機能が
  弱っているとも考えることができます。
  また曲がって固くなっている場合なども問題があります。
  常に観察する癖をつけましょう。
  
観察に始まり、観察に終える。


    手のひらの説明
 
野口整体
手のひら(掌)の中央部を鎮心 (ちんしん)と言って、左手なら心臓と関わりがある、右手なら心と関わりがあると言います。ここに愉気して動悸を鎮めたり、心に変化をもたらしたりします。上肢操法のひとつです。
次の大腸経に上肢操法の図を載せています。
 

 

 

 反応部位

 ●肺経:腹部:左右季肋下部の最外端。 背部:胸椎1~3とその周辺。

 ○大腸経:腹部:そけいに沿った部位で腰に手を当てた時の拇指と他の四指の端が位置する所。

 背部:腰の両側。

 〇胃経:腹部:左季肋下中央から臍にかけて。 背部:胸椎7,8の左肩甲下。

 ● 脾経:腹部:臍を囲む中央部。 背部:胸椎10~12の周囲。

 ●心経:腹部:心窩部。 背部: 胸椎4~6の周辺。  

 ○小腸経:腹部: 膝から左右そけい部までの腸骨動脈に沿った8の字の部位。 背部: 腰椎1,2と左右浮肋骨の先端までの腰のくびれ部分。

 ○膀胱経: 腹部:恥骨の上部から左右へU字型に腎の外側部に反応がある。  背部 :第五腰椎から仙骨とその周辺。

 ●腎経:腹部 :臍下丹田から左右腹直筋に沿って脾を包んだ形に反応がある。 背部 :胸椎3、4とその左右及び胸椎10~12の脾の外側。

 ●心包経:腹部 :心窩とへその中間、腹大動脈の拍動部を感じる所。 背部 :胸椎7~9の周辺  

 ○三焦経:腹部 :左季肋下側方の脾臓の位置に反応。 背部 :胸椎8、9の左側。

 ○胆経:腹部: 右季肋下中央。 背部: 胸椎8、9の右側

 ●肝経: 腹部: 右季肋下中央。 背部: 胸椎7、8の右方を肩甲骨下にかけて。

 参考文献
 
経穴マップ(医歯薬出版株式会社)、図解鍼灸実用経穴学、誰にもわかる経絡治療講話(医道の日本社)
 切診の手引、指圧(増永静人著)、全訳経絡学、難経(たにぐち書店)、日本より全人類へ(三浦関造著)


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 作成者 新潟整体協会 小林輝幸 電話:025-222-7211 メール: 11otayori@gmail.com



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