学習ノート

指圧

 
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指圧療法

目次
第1章 指圧療法基本手技とその生理的影響
第1節 主要手技
第2節 補助手技

第2章 身体各部操作調整法
第1節 肋骨挙上法
第2節 鎖骨挙上法
第3節 下腹部挙上法
第4節 胸郭拡張法
第5節 肩甲骨拡張法
第6節 腰部反逆法
第7節 頚部反逆法
第8節 頚椎伸展法
第9節 下肢伸展法
第10節 下肢前屈法
第11節 下肢後屈法
第12節 下肢抵抗法
第13節 下肢振動法
第14節 上肢抵抗法、上肢振動法、上肢回転法 

第1章 指圧療法基本手技とその生理的影響
指圧秘法は指頭、掌、言語、動作等によって疾病を駆逐し健康の保持増進を図るものでこれをその方法の上から
指圧療法と暗示法に区分するのであるが本章に於いては先ず指圧療法の基本手技を次の如く区分する。
主要手技=指圧法、強圧法、掌圧法
補助手技=速摩法、叩打法、霊動法
第1節 主要手技
1.指圧法
①形式=拇指または中指を中心とする三指すなわち示指、中指、薬指の指頭を用い全身または病患部を押圧する。

②応用部位=病患部、脊柱部両側、その他全身
③程度=被術者の将に痛みを覚え様とする程度または快痛を覚えるか或いは少々痛みを感ずる程度とする。
④一回の押圧時間=一か所、3秒乃至5秒間。
⑤回数=1か所、3回位またはその部位により数回。
⑥目的=脊椎骨の異常矯正、中枢または末梢神経の機能促進或いは抑制、血管リンパ管・内臓諸器官に行いその
作用を促進する。
⑦生理作用=神経生理学に説明されるところの異常部位に高まる「-」電位の他端である「+」電位を「-」を
「+」に変換し以て苦痛、疼痛、発熱等を軽減する。                
骨格の異状を矯正することによりこの異状のため起こった種々の障害は除かれ内臓は十分に活動する。また血行
障害を除き且つ脊髄神経や交感神経の作用を自然状態に帰らせ付図的に新陳代謝の作用は旺盛となり疾病によって
生じた病毒物を排除する。
患部の営養を高め衰弱した細胞の機能を恢復させまた白血球の活動を盛んにしてばい菌を駆除し且つ神経機能の
異状を去り疾病を治療する。

2.強圧法
①形式=拇指頭に全神経を集中して脊柱部両側を強圧する。
②応用部位=脊柱部両側
③程度=患者の耐えられ程度に強く指圧する。
④一回の押圧時間=一か所、30秒乃至1分間 同一の圧力を以て押圧する。
⑤回数=1か所一回
⑥目的=脊髄の中枢神経に脊髄反射衝動を起こさせ内臓諸器官や血管の拡張または収縮を図りその異状を去る。
⑦生理作用=神経の反射性を利用して内臓または血管が拡張しているときは収縮させ、収縮しているときは拡張
させてその機能を正常にする。
迷走神経に本法を行うときは機能の亢進しているものは沈静し減弱しているものは興奮する。

3.掌圧法
①形式=両手または片手を用いる。
両手を用いるときは都合の良い掌を下にしその上に他の掌を重ねて押圧する。
特に力を入れる場所=掌全部(指部を除く)又はその応用部位によって腕骨部。  
②応用部位=背部、脊柱骨(棘上突起の上)、腹部(腹部は片掌を用いて強からず弱からず被術者の気持ちを
聞きながら押圧する)
③程度=患者の年齢・体質・病状に応じて圧力を加減する。施術部位、目的により或いは急激に或いは徐々に
または一定の時間同一の圧力を継続して押圧する。詳細は第三章全身一般指圧治療法を参照)
④一回の押圧時間=急激に行う場合は約一秒間、同一圧力を継続して行うときは一分位。
⑤回数=1か所、1回または2回。
⑥目的=脊椎骨の異常矯正、腹部諸器官の位置矯正、内臓諸器官の機能促進、患部神経の亢進性を和らげる。
⑦生理作用=脊柱骨の異状を矯正することにより指圧法生理作用第二項の作用を順調にならしむ。神経叢或いは
神経末梢を圧迫することによりその亢進性を和らげ特に鎮痛の効あり。神経痛の圧痛点にこれを用いるの外筋痛
或いは疝痛に応用する。歯痛または腹痛に際し病者自ら患部を圧して疼痛の軽減を計らんとする事また故なき
にあらず。神経機能および内部筋肉に好影響を與へ腹部その他の内臓の位置を矯正しまたは機能を促進させる。

第2節 補助手技
1.速摩法
①形式=1.主として胸部および腹部に行うときの方法=両手または片手を用い指間を密着し指紋部および
腹部を患部に軽く触れ両手を用いる時は共に急激に左右に開く様に迅速に摩擦する。
2.胸部、背部、四肢部、その他患部(腹部を除く)に行うときの方法=両手または片手を用い掌の指間を
密着し指紋部、指腹、掌を患部に密着させ強くまたは軽く上下または左右に迅速に摩擦する。
②応用部位=胸部、腹部、背部、その他患部。
③程度=患者の感じにより適宜加減する。
④回数=1か所、約30回
⑤目的=皮下血液の循環を旺盛にし新陳代謝の順程を良好にする。組織の異常矯正。
⑥生理作用=軽き速摩を行うときは皮膚に機械的刺激を與え神経末端に作用して皮膚に充血を起こす。
知覚神経に作用して爽快なる感覚を起す。

 
2.叩打法
①形式=片手を用い拳を握りまたは指を伸ばしその指間を密着させ小指の外側にて叩打する。
②応用部位=脊柱骨部の棘上突起。
③程度=強からず弱からず患者の体質を考えその感覚に応じ適当の力を用い急速にまたは緩徐に行う。
④一回の施術時間=一か所、約3分間。
⑤目的=強圧法と同様に脊髄反射衝動を喚起し神経を興奮または沈静させる。
⑥生理作用=頚椎第7に本法を行うときは迷走神経の機能を亢進させる。その他脊髄反射衝動を喚起する。


3.霊動法
①形式=両拳または片掌または指頭を患者の皮膚に固定して掌または指頭に全精神を集中していると内部細胞
組織に霊動を起こし霊妙快美なる微動を感ずこの方法を施術部位に応用する。
②応用部位=頭部、頚部、その他全身の患部。
③程度=患者の感覚に応じて適宜行う。
④一回の施術時間=適宜
⑤回数=1回または2回。
⑥目的=患者に快感と安心を與へ慰撫し各種の機能を調節し治療多大の効果を挙げることがある。
⑦生理作用=直接作用しては筋肉の活動を盛んにする。神経系統に対してはその刺激を減少させる。
間接的には脈拍の減少、動脈管の緊張、並びに血管の作用の亢進等。長時間これを行えば深部体温を
上昇させることがある。熟練すれば精神に及ぼす影響また偉大なるものがあり本法を行うのみにて疾患
の全快するような感じを与えることがある。
 

第2章 身体各部操作調整法
身体各部操作調整法は疾病の種類により応用すべきものであって、全身一般指圧法と相まって、治病の
効果を一層顕著にするものである。が特に健康増進法として有効である。
第1節 肋骨挙上法
1.準備=患者は仰臥または正座をし、術者は患者が仰臥した時はその頭の上方に、正座した場合は
その背後に位置する。
2.操作法=術者は両手拇指を除く各四指を揃え、その指頭をわずかに曲げ左右の季肋部すなわち
肋骨下縁の弓状の所に押し当てて、患者に静かに呼吸をさせて、吸気の時は術者は押し当てた手を
上方に静かに引き上げながら横に開く様な気持ちで行う。呼気の時は力を緩める。この操作を3回繰り返す。
(数回行うときは徐々に回復する)
3.備考=胃下垂患者の肋骨は大抵下垂している、従って季肋部の肋間は著しく広くなり、季肋骨の先端は
腰部を圧迫して、内面に湾曲しているものである。また胸壁筋肉に分布している神経は第2乃至第12胸椎
より出る肋間神経であって、肋骨の傾斜、転移、または外傷によりこの部に異状を来たす時は、これらの神経
は障碍を受け、そのために筋肉が収縮し胸郭の伸縮運動が不圓滑となり肺臓及び心臓の貧血を起こして組織の
活力を弱める。その結果は結核菌の侵襲を容易にさせるばかりでなく胃、肝臓、脾臓及びその他の内臓の作用
に直接間接に影響し障害をを与えることになる。
4.応用=本法は悪夢、不眠症、気鬱、肺疾患、胃下垂、肝臓、脾臓等の疾病に有効である。
 
第2節 鎖骨挙上法
準備=患者は仰臥し、術者はその側方に位置する。
操作法=先ず術者は患者の鎖骨周囲に充分指圧法を施してその部の組織を緩める。次に示指、中指及び薬指を
一列に並べて、患者の鎖骨上窩の内側にその指紋部を押し当てて、静かに力を入れ片側ずつ或いは両側を同時
に軽く持ち上げ、しばらくそのままににして操作の手を緩める。この操作を3回繰り返す。(付図2第2図)
注意=鎖骨の癒着部は非常に弱いものであるから特に注意してあせらず静かに軽く行うこと。もし、左右の鎖骨
が不揃いであったら静かにその位置を治す様に(下がっているものは引き上げ、上がっているものは引き下げる
様にして)する。
備考=鎖骨が頚部に密着しているのは、習慣的に胸郭を広くしようとするためで、その結果鎖骨下動脈及び
静脈の血行障碍を起こし肺に悪影響を起こすのみならず、脳貧血または脳充血を起こす原因になることが多い。
応用=本法はすべて首より上の病気、肩の凝り、胸部疾患、扁桃腺、耳下腺炎、咽頭カタル及び気管支カタル
等に有効である。

第3節 下腹部挙上法
1.準備=患者は仰臥し腹部諸筋を緩めるため両膝を立て、術者はその側方に位置する。
2.操作法=この法は腹部治療法の一部であって、術者は両手の各指間を密着し、その手掌を患者の
骨盤内に挿入する気持ちで下腹部に押し当て、静かに掬い上げる様にして挙上する。この操作をする時
は肋骨挙上法と同様、患者の呼吸を計って、吸気の時挙上知呼気の時操作の手を緩める。
回数は約20回繰り返す。 
3.備考=内臓は時に自然に下垂して、各機能を障碍する。即ち胃腸が下垂すればその下方にある膀胱や
子宮などを圧迫し、為に排泄機能の衰退を来たして、のぼせ、頭痛、食欲不振等の症状を現し貧血に呈する
様になる。各内臓器官は一定の脊椎から出ている知覚神経が分布しているため、これ等の臓器の障害は必ず
知覚神経から反射的に異状を背部に現し腰背痛を惹起するものである。
4.応用=胃腸の下垂、脱調、婦人病、胆石、腎臓炎、その他臓器の下垂より頭痛、のぼせ、食欲不振等に
有効である。
 

第4節 胸郭拡張法
1.準備=患者は正座するかまたは腰を掛ける。術者は患者の背後に位置する。
2.操作法=術者は両手で患者の両手首を握り、両腕をまっすぐ上方に持ち上げ1、2回やや強く伸展する。
次にその両腕を下げ各肘を曲げ両手首を肩の高さまで水平に保ち、術者は膝頭を患者の肩甲間部の正中線に
当て、握っている両手首を静かに自分の方に引き寄せる。
この時患者はこれに応じようとして、極度に胸郭を拡張し、肩甲骨は互いに相触れるようになるまでする。
術者は患者の呼吸を伺って、すなわち吸気の時にこれを行って呼気の時に緩め1回の操作を終わる。
この操作を施す時患者により、多少痛みを感じるものもあるから、その感覚を聴きながら行う。
回数は3回。
もしも小児または老人あるいは下肢の自由を欠いて椅子その他の支持物が無くては座っていることが
できない様な患者には、術者は患者の背後から両手で患者の上腕を握り、これを後方へ引いて行う。
膝頭を患者の肩甲間部に当てる事や、呼吸を伺って操作することは前同様である。
3.備考=扁平胸と言って胸の厚さが普通より薄いのは肺および心臓を圧迫し、それらの器官の貧血
を起こしたり、また肺の呼吸運動を障碍するためガスの交換作用が不十分となり、それがやがて肺結核
の原因となる場合が多い。事実において肺結核患者のほとんどが扁平胸である。
4.応用=本法は悪夢、不眠症、気鬱、肩こり、肺結核、胃、肝臓、脾臓、その他ほとんどの疾病に有効である。

第5節 肩甲骨拡張法
1.準備=患者は横臥し、術者は患者の背後に位置する。
2.操作法=患者は右側を下にして横臥した場合は、患者の左手を後方に回させ、術者は左手を患者の
左上腕部の上方肩部に近く当て、右手の拇指を除いた他の四指の指頭をやや屈して、脊柱に近い肩甲骨
に当て、患者の上体が少し浮き上がる程度に静かに持ち上げ、しばらくそのままに保ち後力を緩めて
1回の操作を終わる。回数は3回行う。次に患者の左側を下にしてこれと同様に行う。
3.備考=第2乃至第7胸椎の辺りは肩甲間部と称する所で肺、心臓、肋膜、胃など重要諸器官の神経
の中枢部である。ゆえにこの部分の筋肉に収縮を来す時は、血行は妨げられ神経は障碍を受ける。
従ってその末梢器官に影響を及ぼし、またはこれらの内臓諸器官に異状ある時は神経の反射作用により、
この部に知覚過敏を呈する。
4.応用=本法は肩こり、肺疾患、肋膜炎、胃病、心臓病などに有効である。

第6節 腰部反逆法
1.準備=患者は両脚を揃えて伏臥し、術者はその左側に位置する。
2.操作法=術者は左掌を患者の腰椎部に当て、右手の腕部で患者の両脚の膝頭の少し上部を支え徐々
にこれを挙上し暫時そのままに保って原位置に復す。
左手を後方に回させ、、脊柱に近い肩甲骨に当て、患者の上体が少し浮き上がる程度に静かに持ち上げ、
しばらくそのままに保ち後力を緩めて1回の操作を終わる。回数は3回行う。次に患者の左側を下にして
これと同様に行う。回数は3回(患者の少々痛みを覚えるくらいを限度として度を過ごさないように注意)
3.応用=本法は糖尿病、下痢、婦人病、腎臓炎、膀胱カタルその他ほとんどすべての疾患に対して有効である。

 

第7節 頚部反逆法
1.準備=患者は正座するかまたは腰を掛ける。術者は患者の左側に位置する。
2.操作法=術者は右手を拇指と他の四指とに分け、その中間即ち拇指と示指との間で、患者の後頚部の
中央を支え、左掌を患者の前額部に当て、これを後方に押し下げるる様にして約一分間その儘に保ち、
後再び原位置に復す。回数は一回。
3.備考=前額部を抑えることによって咽喉部の筋肉を伸ばし頚動脈に好影響を與え鼻腔、口腔及び咽頭
のカタル症状を消散せしめることができる。
4.応用=本法は頭痛、充血症、悪夢、不眠症、鼻腔塞がって呼吸困難を感ずるときその他頚部より上の
諸疾患に対して有効である。
尚精神を鎮静させるには特に有効である。
 
第8節 頚椎伸展法
1.準備=患者は仰臥し、術者はその頭部上方に位置する。
2.操作法=術者は右手を患者の後頭部頚椎の上に当てて掴む様にし、左手を顎下に当て、両手で同時に力
を入れて引き抜く如くに伸ばし動く程度に行う。尚患者の正座位置で行ってもよい。
3.備考=頚部筋肉の収縮によって、頚椎に副脱臼を生じる時は頚を回転することが困難となり、その結果
気管支粘膜に分布している脈管運動神経に障碍を起こし、漸時他の器官にも影響を及ぼす様になる。
4.応用=この法は頚部筋肉の異状緊縮を整復し頚椎や血管を伸ばし、頚部交感神経や脊髄神経の働き
を良くし、不眠症、悪夢、充血症、咽頭カタル、気管支カタル、喘息等に有効である。

第9節 下肢伸展法
1.準備=患者は伏臥し、術者はその足方に位置する。
2.操作法=術者は両手掌にて患者の足首を持ち引き抜く様に強く引き伸ばす。片足ずつ左右に行う。
回数は左右2,3回宛。
3.備考=脊椎の副脱臼によりて神経は圧迫を受け、その結果筋肉の収縮を来たし下肢が短くなることがある。
この方法は脊椎骨の調整を補助し筋肉の収縮を整復す。
4.応用=この法は下肢筋肉の収縮や血管を伸ばし、血行や神経の働きを良くし、又脊椎の副脱臼を調整を
補助するに有効である。

第10節 下肢前屈法
1.準備=患者は両膝を立てて仰臥し、術者は患者の側方に位置する。
2.操作法=術者は患者の両膝頭を捕え、上腿の前面部が腹部に着く程押し着け、暫時そのままにして
後原位置に復す。この操作を約3回程行い、次に両膝頭を胸郭の外側を越え殆んど腋下に接触し様とする
位に押し下げ、上記同様暫くそのままにして後元の位置に復す。
患者により膝頭を下方に圧する時股関節の周囲に疼痛を覚える者もあるから、術者は圧迫に対する患者の
感覚を聴きながら、これに堪えられる範囲で行う。回数は3回。
(特別の原因が無ければ漸次疼痛は去る様になる)
3.備考=骨盤の異状から脊柱が彎曲することもあれば、また脊柱の彎曲が原因となって左右相等しくない
体重を支えるために、それが骨盤に影響して、一方の腸骨が他方より高くなることがある。その他腹部側面
の筋肉の収縮等により骨盤に異状を来たし、その結果内臓諸器官に影響を及ぼす様になる
4.応用=本法は骨盤及び座骨の位置を正しくし、同時に腹部諸器官の下垂を引き挙げ、骨盤腔への圧迫や
重みから来る鬱血を消散せしむ。
胃腸病、腹腔内鬱血、子宮転位、婦人病、膀胱カルタ、その他総ての疾患に対し有効である。

 
第11節 下肢後屈法
1.準備=患者は伏臥して術者は患者のその側方に位置する。
2.操作法=患者の足部を臀部に近く折り曲げさせ両膝はやや開かせる、術者はその左右の足を重ねて足先
を両手で持ち臀部に接触せしめ暫くそのままにして後元の位置に復すこれを約3回行う。
3.応用=本法は大腿前側の筋肉を伸ばし血行を旺盛にし末梢神経の機能を良くし且つ骨盤の位置を正常
ならしめ凡ての疾患に有効である。

第12節 下肢抵抗法 
1.準備=患者は仰臥し両膝を立てる。術者は患者の側方へ位置する。
2.操作法=
第1法。下肢前屈法の時の様に術者は先ず両手掌を患者の両膝頭に当て、上腿前側を腹部に接触せしめる。
次に患者にその両脚を伸ばさせるように努力せしめ。術者は伸ばさせぬ様に力を加えこれに抵抗しながら、
徐々に患者に負けて遂には伸ばさせてしまう。(これを約10回繰り返す)
第2法。術者は両手掌を患者の両膝の外側に当て、これを外側に開かせ、術者は開かせない様にこれに
抵抗しながら、徐々に患者に負けて充分膝を開かせる様にする。次に術者は両手掌を患者の両膝頭の
内側に当て、前と同じ要領でこれを閉じさせる。(約10回)この場合患者の両脚は両膝を立てさせて
置いて行う。
第3法。患者は左足だけ前屈法と同じ準備姿勢を取らせ、その足底を術者は右掌で持ち、患者はその下肢
を斜めに真っ直ぐに伸ばさせる。もちろん抵抗しながら行うことは前と同じである。片足ずつ左右両脚に
行う。(約10回)
抵抗法には大体右の三方法あるが、通常は第一法及び第二法だけを行い、中風症には第一法より第三法
まで全部を行う。この3つの方法は第一法より少しづつ出来る様になったり漸次第三法まで進んだ方が良い。

3.備考=股関節は髀臼と上腿骨頭とよりできている球窩関節であって、この部分の運動が不十分な時は、
筋肉の収縮に伴って血液の循環は妨げられ、又神経は障碍を受けるために、その結果は骨盤臓器にまで
及ぼし充血或いは鬱血を来たし遂に子宮その他に影響し、腰部及び脚部が著しく冷却する様になる。
4.応用=この法は下肢の血行を旺盛にし、張力を強くし、骨盤器の鬱血を消散し、脳の充血を下げ、
殊に中風、不眠症、逆上、坐骨神経、脚気、腰痛、腰部以下の冷え込み等に有効である。

第13節 下肢振動法及回転法
1.準備=患者は仰臥し、術者はその足方へ位置する。
2.操作法=振動法
①下肢振動法:術者は両手にて患者の一方の足首を持ち、これを上下に迅速に振動する。次に他の足にも
同様に行う。(回数はそれぞれ3、40回位)
②下肢回転法:振動法と同様に患者の足首を握り、これを左より右に、又右より左になるべく大きく回転する。
片足づつ左右に行う。(回数は5,6回)
3.応用=振動法及回転法は共に下肢の血行を旺盛にし、筋肉を伸ばし、脳の充血を下げ、又椎骨全体に
好影響を与える。回転法は股関節の異状を整復す。不眠症、足の冷え込み等に有効である。

第14節 上肢抵抗法、上肢振動法、上肢回転法
下肢の場合と同じ要領に行う。
以上です。

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