観察ポイント:静止状態と歩行状態
1.肩の高さと位置
立位での左右の肩の高さ違いは何を意味していますか?
側湾症や脚の長さに違いがあることなど考えられます。
歩行時の肩の揺れは大きいですか、小さいですか?
2.腕と身体の間のスペース
片方のスペースが拡大する理由はなんですか?
脊椎が外側に弯曲しているなどが考えられます。
3.上前腸骨棘の高さ(ASIS)
上前腸骨棘の位置を確認をして下さい。
高さは左右対称ですか?
高さが違っていたら何が原因ですか?
一方の腸骨の位置が高く、仙骨が傾いていることが考えられます。
4.上後腸骨棘の高さ(PSIS)
上後腸骨棘の位置を確認をして下さい。
左右の高さはどうですか?
高さの違いは何を意味しますか?
■脊椎の弯曲(後方・側方)と背部の筋組織
姿勢のタイプには理想的アライメント・後弯・前弯姿勢・平背・後弯・平坦姿勢
などがある。
胸椎の後弯と腰椎の前弯を観察する。胸椎が過度に後弯すると、どうなるか?
・前のめりになり、上背部に負担がかかり、頭部が前傾する
腰椎過度に前弯するとどうなるか?
・腰部周辺の脊椎が圧迫し組織に炎症を引き起こす
・原因:腹筋の弱さ、股関節屈筋群の緊張
背部の筋組織
筋組織の輪郭の観察、左右の筋肉の隆起に差はないか?
脊椎の弯曲状態がC、S字状になっていないか?
● 前屈 (自動的可動域の計測)
患者に体をゆっくり前に倒してもらう。
床からの指先までどれくらい離れているか? 左右を計測して可動域を調べる。
・側弯症の発見-左右にせり出した肋骨はないか?
立位でハムストリングの緊張はないか?
可動域が少ない場合の原因:腰部に変形性関節炎による緊張、痛みや筋肉スパズム
(神経により筋肉が緊張した状態のことを)など
● 伸展
患者に体をゆっくり後ろに反らせてもらう。
楽に反らすことができるか、否か?
脊椎の彎曲に変化はないか、胸椎が硬くないか、胸椎部分も反っているか、
腰椎の椎骨が固まっていないかなども観察する。
・胸椎や腰椎の硬さや可動域の小ささは関節炎や姿勢の習慣によるものと考えられる。
● 側屈
患者に体をゆっくり横に曲げもらう。
どの程度まで側屈できるのか、指先の位置を確認し左右差を調べる。
腰椎と胸椎の観察-上体を横に曲げた時、脊椎がCの字になっているか(正常)、
まっすぐになっていないか(その部分の椎骨の可動域が小さい-問題を起こす恐れあり、
よく動かし運動をすることを勧める)
● 回旋
患者に胸の前で腕を交差させて肩から回旋させる。股関節は固定する。どの位、肩を捻る事が
出きるか?
左右どの程度身体を捻る事ができるかも観察する。
● 腰椎の筋力テスト
両腕を前に伸ばしてもらい、その手を握り横に位置して、腰の辺りを支え、
手の甲に上から負荷をかける。
腕を通して背中の筋肉に力が伝わるのを感じる。
手の震え-背部の筋力が弱い場合。
肩の痛みが伴う場合-肩関節の障害や肩甲骨の筋力の弱さが考えられる。
胸骨の痛み-脊柱起立筋が上下に収縮するため。
● 立位回旋筋力テスト
両手を合わせた状態で腕を前に伸ばしてもらい、患者の肩を支え、安定させ、験者を
押すようにして肩を回旋させる。
抵抗できる範囲で力を加える。
回旋の向きによって違いはないか?
立った状態で行う回旋テストは脊椎機能を観察するには有効である。
腰部が炎症を起こしている場合や腰椎の一部や椎骨に不安定性が見られなど、このテストに
よって見つけることができる。
● 伸筋筋力テスト(脊椎のテスト)
ベッドに座った状態で、足の力を使えないようにして、患者に胸の前で腕を交差させて背中
(胸椎部)に手を当て前に押す。
患者がどれだけ押し戻せるのかをテストして、体幹や筋肉の強さを観察する。
痛みや、筋力の低下は見られないか確認する。
● 屈筋筋力テスト
①ベッドに座った状態で患者に胸の前で腕を交差させて、験者は腰を支えて押しながら、
屈筋の筋力をテストする。
②次は拇指を腹筋に置き、押しながら、屈筋の筋力をテストする。体を保持できているか、
筋萎縮や痛み、筋力の低下は見られないか確認すること。
● 側屈筋力テスト
① ベッドに座った状態で、患者に胸の前で腕を交差させて、験者は肩を押しながら、
筋力をテストする。脊椎の安定性や体幹の側屈筋筋の筋力を確認する。横方向に押し、
反対方向にも押して、左右で筋力に違いが無いか確認する。
● 回旋筋力テスト
患者の肩に手を置き一方は前方、もう一方は後方へ押し、患者には動かないように力を入れて
抵抗し体幹をひねるように優しく力を加える。
回旋させる方向によって筋力に違いはないか、筋力低下は見られないか、腰椎の症状や
痛みの再発はないか確認する。
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